工場やプラントの煙突塗装に関する費用相場、航空法に基づく赤白塗装のルール、耐熱塗料の選び方、ドローン点検やアスベスト対策まで、発注前に知るべき専門知識を網羅した情報サイトです。

>

航空法に基づく昼間障害標識とは

航空法に基づく赤白塗装(昼間障害標識)のルールと緩和条件


高さ60m以上の煙突は、航空機からの視認性を確保するために航空法に基づく昼間障害標識の対象となり、原則として赤と白の交互塗装が求められます。ただし、中光度白色航空障害灯を設置すれば昼間障害標識を省略でき、グレーなど景観に配慮した色での塗装が可能になります。


対象となる高さと塗り分けの考え方


昼間障害標識の対象は、地表または水面からの高さが60m以上の物件です。煙突のように細長い構造物では、全体を奇数等分(一般に7等分)し、上下端が赤色になるよう赤と白を交互に塗り分ける方法が標準的です。


この「7等分の赤白」という仕様は塗り分け線の位置出しが必要で、色替えの数が増えるほど工程も手間も増えます。塗装面積そのものは変わらなくても、見切り養生と工程分割のぶん労務が膨らむという点は、見積を読むときに意識しておきたいポイントです。


赤白塗装が課題になるケース


法令対応として必要であっても、赤白塗装には実務上の悩みが伴います。特に赤系顔料は紫外線による退色が目立ちやすく、周辺が住宅地や観光地の場合は景観面での配慮を求められることもあります。


  • 赤色の退色・白亜化(チョーキング)が早期に目立ち、見た目の劣化が指摘されやすい
  • 自治体の景観条例や地域協定との整合を取りづらいケースがある
  • 塗り分け工程が増え、同じ面積でも工数が増加する
  • 企業のブランドカラーや工場全体の色彩計画と合わない

中光度白色航空障害灯による緩和と費用対効果


昼間障害標識の代替として、高光度航空障害灯または中光度白色航空障害灯を設置する方法が認められています。中光度白色航空障害灯は昼間は白色、夜間は赤色または白色に閃光する装置で、設置により昼間の赤白塗装が免除されます。


ただし「灯具を付ければ安く済む」と単純には言えません。初期費用と維持管理の両面を並べて比較する必要があります。


比較軸赤白塗装(昼間障害標識)中光度白色航空障害灯の設置
初期費用塗料・塗り分け工程の増加分灯具本体、電源・配線、取付架台、設計・申請費
色の自由度赤白の指定仕様に限定されるグレー等の景観配慮色を選べる
維持管理塗り替え周期ごとの再塗装定期点検、電球・ユニット交換、電気代、故障時の高所作業
工事機会塗り替えと同時に完結灯具交換・修理のたびに高所作業が発生する可能性
向くケース既存が赤白で景観上の問題がない景観配慮が必要/塗り替え周期を通じた色彩統一を図りたい
判断の実務的な進め方としては、塗り替えを機に切り替えを検討する場合、今回の工事費の差額だけでなく、今後2〜3回の塗り替え周期(20〜40年)での累計コストで比べるのが合理的です。灯具は維持費と高所交換作業が継続的に発生するため、更新サイクルを含めた試算を業者に依頼しておくと判断を誤りにくくなります。

申請・届出の確認ポイント


航空障害灯や昼間障害標識の仕様変更は、関係機関との事前確認が前提になります。塗装の色を変えるだけのつもりでも手続きが絡むため、設計段階で整理しておきましょう。


  • 既存の煙突が昼間障害標識の対象高さに該当するか(地表からの実高さで判断)
  • 既設の航空障害灯の種類と設置状況
  • 色彩変更を伴う場合の事前協議の必要性と、必要書類・リードタイム
  • 近隣空港・ヘリポートの有無と、周辺の制限表面との関係
  • 高さ6mを超える煙突は建築基準法上の工作物として扱われ、自治体により定期報告等の対象となる場合があるため、所管部署への確認

この記事をシェアする